
皆さんは、「瞳孔間距離」あるいは「PD」という言葉を耳にしたことがありますか?
この瞳孔間距離(PD)は、メガネを作る際にとても重要なものです。
また、最近よく見聞きする「VR」でも重要な役割を担っています。
ここでは、瞳孔間距離とは何か?また、その測り方について詳しく解説いたします。
メガネやVRに、瞳孔間距離がどのように関わるものなのかを知っていきましょう。
瞳孔間距離(PD)とは
「瞳孔間距離」は英語で「Pupillary Distance」といい、その略から「PD」と呼ばれることもあります。
「Pupillary Distance」の意味は、そのまま「瞳孔の距離」。
まっすぐ前を見たときの、右目の瞳孔(黒目の中心)から、左目の瞳孔までの直線距離のことです。
なぜ瞳孔間距離(PD)は重要なのか
瞳孔間距離は、メガネを作るときにとても重要です。
なぜなら、メガネのサイズと瞳孔間距離がズレていると、目に様々な悪影響があるため。
自分に合ったメガネを選ぶためには、瞳孔間距離を正確に測定する必要があります。
レンズと瞳孔がズレると目の負担となる
メガネのレンズには「光学中心」と呼ばれる中心点があります。
メガネを作るときは、黒目の中心(瞳孔)にこの光学中心を合わせることで、歪みのないクリアな視界が実現します。
もしこれが大きくずれていると、左右の映像のずれが生じて脳はうまく調整することができません。
結果として、このメガネをかけていると疲れやすい、よく見えないと感じてしまうことになります。
そのため、レンズの光学中心同士の距離と、瞳孔間距離が一致していることが大切なのです。
メガネフレームPDと合わせる必要がある
瞳孔間距離(PD)の他に、「メガネフレームPD」という言葉があります。
メガネフレームPDとは、左右のレンズ(リム)の中心同士の距離のこと。
目に合ったメガネを作るには、メガネフレームPDと瞳孔間距離を合わせることが不可欠です。
瞳孔間距離(PD)とメガネフレームPDの誤差は、左右それぞれ1mm以内にする必要があります。
メガネフレームPDが、瞳孔間距離(PD)±2mmまでなら許容範囲というわけですね。
特に、度の強いレンズの場合はレンズが厚い分だけずれが生じやすいので、きちんと計測することが必要です。
メガネと合わないと垢抜けない印象に
瞳孔間距離(PD)は、メガネをかけた時の見え方にも影響を与えます。
見た目を基準にメガネを選ぶなら、瞳孔の位置がレンズの真ん中より内側5mm以内になるものを選びましょう。
このようなフレームを選ぶと、メガネが顔に違和感なく馴染み、垢抜けて見えます。
外側・内側どちらにせよ、黒目の中心がレンズの真ん中から大きく外れていると、垢抜けない印象になったり、顔が大きく見えたりします。
特に、度が強いレンズほど見た目のズレが大きいので、しっかりと瞳孔間距離(PD)に合ったフレームを選ぶ必要があります。
瞳孔間距離(PD)の平均値
瞳孔間距離(PD)には個人差がありますが、市販のメガネフレームは平均値に合わせて作られていることが多いです。
平均と自分の数値を比較することで、大まかにどのサイズを選べば良いかわかります。
日本人の瞳孔間距離(PD)平均値を、男性・女性・子どもに分けてご紹介いたします。
日本人男性
日本人男性の平均瞳孔間距離(PD)は64mmです。個人差はもちろんありますが、60mm以下ではやや狭く、60~70mmで一般的な距離、70mm以上になるとやや広めであると言えるでしょう。
日本人女性
日本人女性の平均瞳孔間距離(PD)は62mmです。こちらも人によって異なりますが、59mm以下ではやや狭め、60~64mmであれば一般的な距離、65mm以上になるとやや広いと言えます。
子ども
子どもの頭蓋骨は大人よりも小さいため、瞳孔間距離(PD)も小さめ。
成長するにつれてだんだんと広くなっていきます。
ヒトの瞳孔間距離(PD)は、大体10歳くらいまでには決定するとされています。
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瞳孔間距離(PD)の測定方法

メガネ店や眼科では、「PDメーター」という専用の機械で瞳孔間距離(PD)を測っています。
機械をのぞき込むと黒目の部分が光り、それを内蔵されているメーターで測定するという仕組みです。
精度は眼科でもメガネ店でも大差はなく、正確に測定することができます。
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メガネフレームPDとは?

先にも少し触れましたが、メガネフレームPDとはメガネのレンズ(リム)同士の中心の距離のことです。
メガネフレームPDは、メガネのツルの内側に書かれた「53 □18 140」などの数字から計算することができます。
これらの数字はそれぞれ、「レンズの横幅」「ブリッジの長さ」「テンプルの長さ」をミリ単位で表しています。
先の例だと、「レンズの横幅53mm」「ブリッジ18mm」「テンプル140mm」という意味です。
そして、メガネフレームPDを求めるための式は、以下の通り。
「メガネフレームPD=(レンズの横幅÷2)×2+ブリッジ」
「レンズの半分+ブリッジ+レンズの半分」がメガネフレームPDなので上記の式になっていますが、実際に計算するときは「レンズの横幅+ブリッジ」と覚えれば良いでしょう。
上記の例の場合、53mm+18mm=72 mmがメガネフレームPDです。
この数値が自分の瞳孔間距離±2mmなら、そのフレームが自分に合っているということになります。
瞳孔間距離はVR使用時にも重要

近年よく目にするVRヘッドセットデバイス(VRゴーグル)も、メガネと同じようなレンズを用いています。
正しくVR映像を見るためにも、瞳孔間距離に合ったヘッドセットを選ぶことが大切です。
VRゴーグルはメガネほど常用するものではなく、複数人での使い回しもするので、ある程度レンズの距離が調整できる商品もあります。
この調整が不十分だと、瞳孔間距離(PD)が合わないメガネと同じく目に負担がかり、頭痛や目眩、映像酔いの原因となるのです。
うまく立体視が楽しめない場合もありますので、VRゴーグルを使うときは瞳孔間距離のことを念頭に置いて、しっかり調整をするようにしましょう。
海外製のゴーグルは子どもの瞳孔距離に合わないことも
海外製のVRゴーグルの中には、瞳孔間距離(PD)が調整できない機種も多いようです。
特に瞳孔間距離(PD)が小さい子どもには合わないことがあるので、購入前にしっかりと確認しておく必要があります。
子どもが合わないVRデバイスを使うリスク
6~8歳くらいまでの子どもの目や脳は、まだ成長途中です。
このときに、片目に眼帯するなどの通常とは異なる方法で立体視をさせると、将来の視力や物の見え方に異常が生じることがあります。
そしてVRデバイスで見る立体映像も、子供の空間認知に悪影響を与える一因です。
VRデバイスの映像は、一人ひとりの瞳孔間距離(PD)に合わせて調整できない場合が多々あります。
瞳孔間距離(PD)に合わない立体映像を無理に見続けることで、目や脳に過剰な負担を与えてしまうのです。
また、子供は体の成長と同時に頭の大きさや顔のパーツの距離も変わるので、瞳孔間距離(PD)が変化しやすいです。
こちらも、VRデバイスを子供の瞳孔間距離(PD)に合わせるのが難しくなっている要因です。
一般的に、立体視の発達は6歳ごろまで、瞳孔間距離(PD)も10歳前後までに完成するといわれています。
VRデバイスを楽しむ時は、年齢制限をきちんと守り、長時間の視聴は避けるように親がコントロールする必要があるのです。
VRの仕組み
一般的に、ヒトの立体的な空間認知は、右目と左目で見ている映像の違いを脳の「立体視細胞」が処理することで行われています。
一方、VRデバイスではゴーグル内のスクリーンに左右それぞれの映像を映すことで、立体的な空間認識を行わせます。
当然ながら物体との距離は現実世界とは異なっていますが、目は常にゴーグル内のスクリーンにピントを合わせようとします。
すると、ここで立体視細胞の処理に矛盾が起こります。
空間的にはより遠くまたは近くに物体があると認識しているのに、目は常に同じ距離のスクリーンにピントを合わせている状態です。
この状態が長時間続くと疲れ目の原因になります。
年齢制限を守ろう
多くのVRデバイスには、7歳以上、12歳以上、13歳以上といった年齢制限が設けられています。
これは、合わないヘッドセットを使うことで、子どもの視力に影響を与えるリスクを踏まえた制限事項です。
一度落ちてしまった視力や、歪んでしまった空間認知は、戻る保証がありません。
ですから、子供のVRデバイス使用は親がしっかり管理し、年齢制限を守って適切に楽しむことが大切なのです。
まとめ

メガネを作ったり購入したりするとき、自分にぴったりのメガネを選ぶために瞳孔間距離(PD)は欠かせない数値です。
また、VRデバイスを使うときにも重要です。
ぜひ一度、きちんと測っておくことをおすすめします。
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